【募集要項|受賞者発表|審査員講評】SIAF2027 500m美術館賞
SIAF2027 500-m Underground Walkway Gallery Award
Award
SIAF2027 500m美術館賞 展示プラン募集
SIAF2027 500-m Underground Walkway Gallery Award: Call for Exhibition Plans
札幌国際芸術祭2027(SIAF2027)
SIAF2027 Sapporo International Art Festival
https://siaf.jp/
(English below)
札幌大通地下ギャラリー500m美術館では、現代アートの作品プランおよび企画プランを対象としたコンペティション「500m美術館賞」を2012年より実施しており、これまでに13回の開催を重ねてきました。
今年度は、500m美術館が札幌国際芸術祭2027(SIAF2027)の会場となることを受け、同芸術祭の会期中に作品展示を行う2組を選出する特別コンペティション「SIAF2027 500m美術館賞」を実施することになりました。
本コンペティションでは、SIAF2027のテーマ
「PLANET SNOW(プラネット・スノー)— upas mintar / upas nociw(ウパㇱ ミンタㇻ / ウパㇱ ノチウ)」に基づいた展示プランを募集します。
会場となる500m美術館には、ガラスケース が8基(1基:幅12,000mm × 高さ2,000mm × 奥行650mm)があります。今回は1組4基、総延長48mの展示空間を使用した作品展示が可能です。
応募形式は、アーティストによる個展形式の展示プランのほか、キュレーターによる企画展、複数作家によるグループ展なども対象とします。多くの人が行き交う地下コンコースに設置されたガラスケース空間の特性を生かしたプランをお待ちしております。
展示プランは一次書類審査および二次面接審査を経て選考され、選出された2組は、2027年1月16日(土)より開催されるSIAF2027の参加アーティスト(※)として、500m美術館における展覧会「SIAF2027 500m美術館賞」に出展していただきます。
※キュレーターを含むチームで応募された場合は、チーム名やコレクティブ名での発表とします。
国内外からの多くのご応募をお待ちしております。
●募集期間
2026年4月20日(月)〜 7月20日(月・祝)23:59[必着]
●展示場所
札幌大通地下ギャラリー500m美術館
住所:札幌市中央区大通西1丁目~大通東2丁目
アクセス:札幌市営地下鉄大通駅と地下鉄東西線バスセンター前駅を結ぶ地下コンコース、地下2階)
●展示会場
500m美術館ガラスケース4基(1基につき、幅12,000mm×高さ2,000mm×奥行650mm)、全長12m×4基(48m)
※計8基のガラスケースを東側・西側で4基ずつに分け、受賞者2組の作品展示を行います。
●SIAF2027 500m美術館賞 会期
2027年1月16日(土)〜3月24日(水)
*SIAF2027の会期は2027年1月16日(土)〜2月21日(日)ですが、本展示は3月24日まで継続します。
●審査員

三橋純予 (北海道教育大学岩見沢校美術文化専攻教授) /審査委員長

吉崎元章(本郷新記念札幌彫刻美術館館長)
●ゲスト審査員

小川秀明(SIAF2027クリエイティブディレクター)

細川麻沙美(SIAF2027フェスティバルディレクター)
●出品料
無料
●賞金
・アーティストフィー
受賞者2組に各30万円
・制作費
受賞者2組に各20万円
・旅費・送料など(搬入、搬出往復)
海外を拠点とする出展者 各25万円
道外を拠点とする出展者 各15万円
道内を拠点とする出展者 各 5万円
●応募から展示までの流れ(予定)
1.応募開始:2026年4月20日(月)
2.応募締切:2026年7月20日(月・祝)23:59 [必着]
3.一次審査:2026年7月下旬〜8月上初旬を予定
4.二次面接審査:2026年8月22日(土)を予定
5.作品設営期間:2027年1月10日(日)〜14日(木)10:00-17:00(5日間)
展覧会期間:2027年1月16日(土)〜3月24日(水)
(SIAF2027会期[2027年1月16日(土)~2月21日(日)]*SIAF2027の会期は2027年1月16日(土)〜2月21日(日)ですが、本展示は3月24日まで継続します)
6.搬出撤去:2027年3月25日(木)・3月26日(金)10:00-17:00(2日間)
●応募要項はこちらをご確認ください
https://www.500m.jp/control-panel/wp-content/uploads/2026/04/SIAF500mAward_2027_guideline_ja-en-1.pdf
●主催
札幌市、札幌国際芸術祭実行委員会
●企画運営
有限会社クンスト/CAI現代芸術研究所/CAI03、一般社団法人 PROJECTA
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The Sapporo Odori 500-m Underground Walkway Gallery has been holding the "500-m Underground Walkway Gallery Award," a competition for contemporary artwork plans and exhibition proposals, since 2012, and is now preparing for its 14th edition.
As the 500-m Underground Walkway Gallery will serve as a venue for the Sapporo International Art Festival 2027 (SIAF2027) this fiscal year, we have decided to hold the "SIAF2027 500-m Underground Walkway Gallery Award," an international competition for two parties to exhibit their works during the festival.
In this competition, we are seeking exhibition plans based on the theme of SIAF2027: "PLANET SNOW — upas mintar / upas nociw".
The 500-m Underground Walkway Gallery, which will serve as the venue, has eight glass cases (each 12,000 mm W x 2,000 mm H x 650 mm D). For this occasion, four cases, totaling 48 meters, will be made available for exhibition to each winner.
The application format targets plans for solo exhibitions by artists, as well as curated and group exhibitions featuring multiple artists. We look forward to seeing plans that take advantage of the characteristics of the glass cases located in this high-traffic underground concourse.
Exhibition plans will be selected through a primary document screening and a secondary interview screening. The two selected parties will participate as SIAF2027 participating artists (*) and exhibit in the exhibition "SIAF2027 500-m Underground Walkway Gallery Award" at the 500-m Underground Walkway Gallery starting from January 16 (Sat), 2027.
*If applying as a team with a curator, the announcement will be made under the collective’s name.
We look forward to receiving many applications from both within Japan and abroad.
● Application Period
April 20 (Mon) – July 20 (Mon, public holiday), 2026, 23:59 [Must arrive by this time]
● Exhibition Venue
Sapporo Odori 500-m Underground Walkway Gallery
Address: Odori Nishi 1-chome to Odori Higashi 2-chome, Chuo-ku, Sapporo
Access: Underground concourse (B2F) connecting Odori Station and Bus Center-mae Station
● Exhibition Space
Four 500-m Underground Walkway Gallery glass cases (each 12,000 mm W x 2,000 mm H x 650 mm D)
Total length: 12 m x 4 cases (48 m)
*The eight glass display cases will be divided evenly, with four on the east side and four on the west side of the Glass Case Zone, to exhibit the works of the two winning parties.
●SIAF2027 500-m Underground Walkway Gallery Award Exhibition Period
January 16 (Sat) – March 24 (Wed), 2027
*While SIAF2027 is held from January 16 (Sat) to February 21 (Sun), 2027, this exhibition will continue until March 24 (Wed).
●Selection Committee (Jury)
MITSUHASHI Sumiyo (Professor, Department of Art and Culture, Hokkaido University of Education, Iwamizawa Campus) / Chairperson of the selection committee
YOSHIZAKI Motoaki (Director, Hongo Shin Memorial Museum of Sculpture, Sapporo)
● Guest Jurors
OGAWA Hideaki (SIAF2027 Creative Director)
HOSOKAWA Asami (SIAF2027 Festival Director)
● Entry Fee
Free
● Awards and Support
・Artist Fee: ¥300,000 per party
・Production Cost: ¥200,000 per party
・Travel/Shipping Allowance:
Exhibitors based overseas: ¥250,000 each
Domestic exhibitors based outside Hokkaido: ¥150,000 each
Exhibitors based within Hokkaido: ¥50,000 each
● Flow from Application to Exhibition (Scheduled)
Application Starts: April 20 (Mon), 2026
Application Deadline: July 20 (Mon, public holiday), 2026, 23:59 JST [Must arrive by this time]
Primary Screening: Scheduled for late July to early August 2026
Secondary Interview Screening: Scheduled for August 22 (Sat), 2026
Work Installation Period: January 10 (Sat) – January 14 (Thurs), 2027, 10:00-17:00 (5 days)
Exhibition Period: January 16 (Sat) – March 24 (Wed), 2027 (Even after the conclusion of SIAF2027 [January 16 (Sat) – February 21 (Sun), 2027], the exhibition at the 500-m Underground Walkway Gallery will be held until March 24 (Wed))
Removal and De-installation: March 25 (Thurs) and March 26 (Fri), 2027, 10:00-17:00 (2 days)
● Please check the application guidelines here.
https://www.500m.jp/control-panel/wp-content/uploads/2026/04/SIAF500mAward_2027_guideline_ja-en-1.pdf
● Organizer:
City of Sapporo, Sapporo International Art Festival Executive Committee
● Project Management:
KUNST Co., Ltd. / CAI Institute of Contemporary Art / CAI03, PROJECTA (General Incorporated Association)
グランプリ
大西康明 ONISHI Yasuaki|鈴木悠哉 SUZUKI Yuya
【今年度の特別コンペティション「SIAF2027 500m美術館賞」では、SIAF2027参加アーティストとして2名の受賞者を選出しました】
「SIAF2027 500m美術館賞」受賞者2組が決定!
札幌国際芸術祭2027(SIAF2027)と札幌大通地下ギャラリー 500m美術館の協働による特別コンペティション「SIAF2027 500m美術館賞」の受賞アーティストが決定しました。
国内外から81組の応募があり、厳正な審査の結果、大西康明、鈴木悠哉の2組が選出されました。両氏はSIAF2027の参加アーティストとして、2027年1月16日(土)より500m美術館にて作品を展示します。
500m美術館では、現代アートのコンペティション「500m美術館賞」を毎年実施しています。
今年度はSIAF2027開催に向けた特別版として、SIAF2027のテーマ「PLANET SNOW(プラネット・スノー)― upas mintar / upas nociw(ウパㇱ ミンタㇻ / ウパㇱ ノチウ)」に基づく展示プランを、2026年4月から7月にかけて公募しました。
審査には、SIAF2027のディレクター陣を含む4名が参加し、応募された展示プランについて審査を行いました。
審査員
- 小川秀明(SIAF2027クリエイティブディレクター)
- 細川麻沙美(SIAF2027フェスティバルディレクター)
- 三橋純予(北海道教育大学岩見沢校 美術文化専攻教授/審査委員長)
- 吉崎元章(本郷新記念札幌彫刻美術館館長)
アーティスト
大西康明 ONISHI Yasuaki

鈴木悠哉 SUZUKI Yuya


札幌国際芸術祭(SIAF)2027 公式WEBサイト
https://siaf.jp/2027/about/
入選
該当者なし
選評
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SIAF2027 500m美術館賞 総評
三橋純予 (北海道教育大学岩見沢校美術文化専攻教授) /審査委員長
先ず、国内外から応募いただいた全てのアーティストの方々に敬意と感謝を申しあげます。今回、500m美術館が札幌国際芸術祭SIAF2027の公式会場となり、アーティスト個々の独自表現や造形手法を、SIAF2027のテーマへとつなげることで、より多様な世界観のある企画プランが数多く創造されました。複数の審査段階を経て、改めて現代アートの拠点(ハブ)である500m美術館の潜在能力を再認識できたこと、特に、世界的にも希有な500m美術館の長い展示空間は、決してマイナス要因ではなく、アーティストが挑戦せざるを得ない「可能性を秘めた制限性」を持っていると実感しています。日常的に通行する一般の人々が鑑賞者となる「地下通路という公共空間」においては、文字通り<社会関与型の現代アート>の展示空間としても、幅広い表現や関係性を生み出す原動力になっています。
現代アートは理解しにくいと言われますが、今回のような企画プランの審査過程や選考理由を辿ることも、理解する手掛かり(補助線)になると考えています。審査で選出された2組の展示プランは芸術祭開催期間に公開となります。他の会場と共に地下公共空間での展示を楽しみながら、改めて札幌国際芸術祭の意義、現代アートの役割などを共に考える機会となれば幸いです。
<今回の審査基準と経緯について>
SIAF2027の公式会場となることで、例年の500m美術館グランプリ賞とは異なり、ガラスケース4基(全長48m)の企画プランの公募となった。審査体制は、例年500m美術館賞の審査員である三橋純予と吉崎元章に、小川秀明(SIAF2027クリエイティブディレクター)と細川麻沙美(SIAF2027フェスティバルディレクター)が加わっての審査となった。
審査基準は、500m美術館賞における「500m美術館の特性が活かされているか」「実現性と完成度」「特定の地域を超えた幅広い視点、時代にあった視点」をベースとして、今回は札幌国際芸術祭の公式会場となるため、SIAF2027のテーマとの接続性が重要な評価軸となっている。具体的には「PLANET SNOW -upas mintar/upas nociw」をどう捉えるのか、そしてアーティスト個々の造形表現や世界観をどのようなコンセプトで結びつけ、造形表現として構成するのかという視点である。
<審査過程と選出アーティスト>
審査過程は以下のとおりである。
今回は国内外から81組の応募があり、海外からは23組で、ヨーロッパ、アジアなど11ヶ国の応募があった。
上記の審査基準を元にして、先ずは各審査員が企画プランを個別に評価し、その後4人の審査員で評価を共有し検討していった。
企画プランを全体的にみると、SIAFの「PLANET SNOW -upas mintar/upas nociw(ウパㇱ ミンタラ/ウパㇱ ノチウ)」が多様な視点から捉えられていた。具体的には、PLANET(惑星)を地球外や想像上の星と位置づけ新たな世界観を造りだすもの、何気ない日常生活から社会課題を可視化するもの、SNOW(雪)や地域性に注目したプランも多かった。また、「upas mintar/upas nociw」からアイヌの歴史文化や造形表現にインスピレーションを得たもの、国際芸術祭の全体を俯瞰して500m美術館の位置やつながり(動線)に着目するもの、現代アートの国際的芸術祭としての意義を問うもの、従来の認識を捉え直す再解釈や思考プロセスをコンセプトとしたもの、自然や人間との新たな関係性(生態系)から境界を壊そうとするもの、等々である。また、新たなユニットを組み多分野から複合的に企画したもの、国をまたいでの意欲的なユニット結成もあった。冬季開催の芸術祭ということもあり、アーティスト自身の「雪」との関係性も大きな企画要素となったと感じられた。
審査段階では、個々の企画プランに則して、造形的なクオリティ、技術的な制約等も含む実現性、視覚表現としての明確性、公共空間に相応しいかなどの評価と共に、選考におけるジェンダーバランスやルーツの多様性からの検討等もなされている。
上記の一次書類選考を経て、5組(海外2組、国内3組)が二次審査に選出された。
二次のプレゼンテーション審査では、応募者から企画プラン説明後、審査員からの質疑応答を経て、大西康明「ゆきのま」(仮題)と鈴木悠哉「Debris Planet」の2組が公式出品アーティストに選出された。
<企画プラン講評>
大西康明「ゆきのま」(仮題)
日常的に意識されない「空洞」「余白」「境界」を、形をとどめにくいポリシートなどの半透明な素材を用いて、覆ったり袋状に膨らませるなどで、ユニークな空間構成を展開する大西は、内側と外側、表と裏、その間の境界部分の可視化により、人間と自然などの様々なものの関係性を探究する関西出身のアーティストである。
雪との接点が少なく、体積としての雪を体感していない大西の企画プランは、展示空間を従来作品よりも横長に拡大した。500m美術館のガラスケース内に雪を想起させる半透明な素材で動く物体で空間を満たし、その余白にモチーフを配置する構成となっている。空間や余白との関係性から、鑑賞者自身が持つ個別の経験や記憶を増幅させて、世界を新たな視点で眺める思考や想像力を促すプランでもある。地下通路という展示空間において、美術の専門知識を持たない鑑賞者の経験した時間の積み重ねも展示表現に含め、作品制作の最終段階を鑑賞者に委ねる試みは、ガラスケースを介した作品空間と通路の境界を溶かした「新たなつながり」に進化させる手法としても評価された。
作品単体ではなく、現代アート視点から作られる展示空間の新たな関係性、展示物が揺れ動く流動性のあるモチーフへの挑戦等が、48mの展示空間を再構築する意欲ある企画プランと評価された。SIAF2027のメイン会場である市民ギャラリーへとつながる動線としての役割を担える流れのあるレイアウトも評価された要素である。
鈴木悠哉「Debris Planet」
鈴木悠哉は、都市の路上に現れる廃棄物やガラクタなどの残余物(Debris)を主なモチーフとして、ユニークな表現を展開するアーティストである。
札幌在住の鈴木は、雪が日常を覆い尽くすことで、事物の本来機能や存在の意味が一旦保留される「雪景色」を毎年経験している。そこから、降雪によって機能を切り離された残余物の「形態」を、意図的に認識をずらす手がかり(モチーフ)として作品に組み込んでいる。今回の企画プランでは、本物の雪で覆われた惑星(Planet)には密かな地下空間があり、鈴木の優れた造形感覚から生み出された美しい色彩のモチーフ達が存在している、というコンセプトだ。500m美術館を行き来する鑑賞者は、都市の大量消費社会を映し出すこれらのユニークな「残余物」を、雪景色の地上と接続する通路として体験できる。
現代アートの大きな命題である「都市や環境に対する視点の転換」について、雪のある地上と雪のない地下との関係性、札幌国際芸術祭の全体像における500m美術館の位置をも考慮した企画となっていた。芸術祭を巡る鑑賞者への接続性や、地下公共空間としての500m美術館の意義をも再評価するプランは、審査員全員の高い評価につながった。
今回の企画プラン審査では、従来の伝統美術や思考への再解釈、多様な視点からの表現と批評性を命題とする現代アートの本質を踏まえつつ、独自の視覚表現を用いた造形空間を作り、SIAF2027とのつながりを持った企画プランの2組が受賞した。
特に大きく評価された要素として、地下通路にある500m美術館という公共空間において、造形的にクオリティが高い作品構成であること、誰もが興味を引かれる親しみやすいモチーフを用いながら、通行する鑑賞者に現代アートからの問いかけをする「市民に開かれた」企画プランが選出されたと言えるだろう。
選評
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SIAF2027 500m美術館賞 講評
小川秀明(SIAF2027クリエイティブディレクター)
札幌国際芸術祭SIAF2027のテーマ「PLANET SNOW」。その世界観のもと、500mにわたる地下通路をどのような世界へと変容させることができるのか。創造的なインスピレーションに満ちた数々の提案から、大西康明の「ゆきのま(仮題)」と鈴木悠哉の「Debris Planet」の2作品を選定した。
大西は、膨らみ、萎む半透明のポリエチレンシートによって、静かな地下通路に呼吸する雪の風景を生み出す。一方、鈴木は、人工物に溢れた私たちの世界を「残余物の惑星」として捉え、そこに生きる人々の営みや気配を浮かび上がらせる。
私たちは、地球の有限な資源から無数の人工物を生み出し、あたかも無限の富が存在するかのように生きてきた。しかし今、この惑星でどう生き続けるのか、あるいは「Planet B」を必要とするのかという問いに直面している。
プラネット・スノーの「地下道」は、日常を非日常へと変容させると同時に、私たちが生きる惑星の現実を批評的に映し出す場所となる。何気なく通り過ぎる人々が、いつもの風景の向こうに新たな世界を発見する。その瞬間を楽しみにしている。
選評
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SIAF2027 500m美術館賞 講評
細川麻沙美(SIAF2027フェスティバルディレクター)
改めてたくさんの応募があり、意欲的な企画が寄せられたことを大変嬉しく思います。ご参加いただいたアーティストおよび企画者のみなさん、ありがとうございました。
今回の審査における評価のポイントとして、①芸術祭のテーマを踏まえながら、②作家の独自性をそのテーマと融和させつつ、③4つのガラスケースという特殊な展示空間へいかに落とし込み、その会場条件をむしろ強みや魅力として捉えているか、という点が挙げられると思います。この3つの条件が、個々の企画の中で要素として相互に作用し、新たな表現に昇華されているのかは、非常に重要な評価軸となりました。
結果的に選出された2組は、これらの要素の絶妙なバランスをとりながらも、アーティスト自身にとって新たな挑戦となる内容であり、かつ審査員の「見てみたい」という期待を喚起させるものでした。また、公共の通路に併設している展示施設である特性上、通行者がふっと目を留めてしまう高い視認性と、そこから直感的に繋がるようなコンセプト(いわばキャッチーさとも言えるでしょうか)も判断の大きな要素となった点も付け加えておきたいと思います。
非常に意欲的で熟考された企画であっても特定の要素に特化している場合は、残念ながら選外となりましたが、実際には、最後まで審査は難航しました。審査員の間でも、興味や期待値には個人差があり、白熱した議論が繰り広げられました。ただ、それほど選外となった作品にも魅力的な企画があったことは、ここにお伝えします。次回以降の公募の機会への挑戦を是非検討していただけることを願います。
SIAF2027開催までのカウントダウンが迫ってきました。1月にどんな風景がプラネットスノーの地下道に広がるのか、今から非常に楽しみです。
選評
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SIAF2027 500m美術館賞 講評
冬に対する札幌の内と外からの二つのアプローチ
吉崎元章(本郷新記念札幌彫刻美術館館長)
札幌の年間の平均降雪量は5メートル近くある。これほど多くの雪が降るところに196万人もの人々が暮らす都市は、世界を見渡しても他にはない。充実した除排雪体制がそれを支え、降雪時でも支障がない地下鉄や地下街、地下通路を発達させてきた。
この500m美術館は、まさにこの街の中心部の地下鉄駅を結ぶ、地下通路にある。
私はこれまでも500m美術館賞の審査に長く関わってきたが、作品自体の力とともに主に重視してきたのは、この奥行きのない極端に横長の展示スペースの活かし方や公共空間にあるということの意味である。
札幌国際芸術祭SIAF2027の正式プログラムとなった今回においては、それに加えて、「PLANET SNOW」というテーマとどのように向き合い、真冬にこの場所で展示することをいかに考えているかにも着目した。
審査員の協議により、最終的に大西康明と鈴木悠哉のプランが選ばれたわけだが、結果として、大西が関西を中心に活動し、鈴木は札幌在住であるということにも興味をもっている。
応募プラン及び面接時に強く感じたのは、札幌の冬に対する認識のちがいである。
大西の作品には、除雪機や家などの模型を取り込むことが考えられていたのだが、それらが札幌で通常見られるものとは形状が異なっていた。これからのリサーチで改善されていくとは思うが、明らかに外から感じる札幌の冬のイメージだったのである。
片や鈴木は、4つのブースのなかに極自然に雪景色のイメージを溶け込ませている。それは、冬の厳しさや苦労を毎年体験するなかで、雪がすべてを均一に包み込み単純化する美しさに、当たり前のように接してきたからだと感じた。
今回の札幌国際芸術祭のサブタイトルは、「upas mintar/upas nociw(ウパㇱ ミンタラ/ウパㇱ ノチウ)」が多様な視点から捉えられていた。具体的には、PLA」である。アイヌ語で「雪の庭」と「雪の星」を意味する。そこには、「PLANET SNOW」が札幌で暮らす人にとっては「ミンタㇻ(庭)」であり、遠くから訪れる人にとっては「ノチウ(星)」であるという異なる視点も含まれているのだという。
選ばれた二人の作品は、奇遇にもこのサブタイトルに呼応し、札幌の冬に対する二つの視点からのアプローチになるということも楽しみにしている。
SIAF2027 500m美術館賞
【募集要項|受賞者発表|審査員講評】SIAF2027 500m美術館賞
第13回500m美術館賞 入選展
第13回 500m美術館賞
第12回500m美術館賞 入選展
第12回500m美術館賞
第11回札幌500m美術館賞 入選展
第11回札幌500m美術館賞
第10回札幌500m美術館賞
第9回札幌500m美術館賞
第8回札幌500m美術館賞
第7回札幌500m美術館賞
第6回札幌500m美術館賞
第5回札幌500m美術館賞
第4回札幌500m美術館賞
第3回札幌500m美術館賞
第2回札幌500m美術館賞
第1回札幌500m美術館賞