第2回札幌500m美術館賞
Award
500m美術館は、第2回目となる現代アートの作品プランおよび企画プランのコンペティションを開催します。
会場は500m美術館のガラスケース(幅12,000mm×高さ 2,000mm×奥行650mm)7基。全長84mで展開する作品プランおよび企画プランを大募集。アーティストによる企画展、企画者によるグループ展、作家&企画者による企画展など、ガラスケース7基をつかった新鮮な企画アイデアをおまちしています。
審査を通過しグランプリに選ばれたアーティストおよび企画者1組に制作費100万円を授与し、2014年2月1日より開催される「第2回札幌500m美術館賞グランプリ展」で作品および企画を発表していただきます。会期中の札幌は雪祭りのシーズンであり、数多くの来場者が国内外から訪れます。是非、魅力的なプランで札幌の地下から世界へと発信してください。
■ゲスト審査員
長谷川 祐子(東京都現代美術館チーフキュレーター)
■審査員
北村 清彦(北海道大学大学院文学研究科芸術学講座教授)
柴 勤(北海道立近代美術館学芸員)
三橋 純予(北海道教育大学岩見沢校芸術文化コース教授)
吉崎 元章(札幌芸術の森美術館副館長)
グランプリ
大黒 淳一
入選
該当者なし
選評
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長谷川 祐子
東京都現代美術館チーフキュレーター
パブリックスペースに面した長い展示室という特殊な条件に対して、二つのタイプのプロポーザルがあった。
一つは絵画や彫刻を連綿と横にてんじしていくことで、一つの作家の個展としての世界観をみせようとするもの、もう一つはスペースを一つの特殊な空間のボリュームとみて、その中でのみ成立するユニークなプロジェクトをしようとするものである。
今回決定した大黒のプロポーザルは、雪、しかも吹雪を長い展示空間の中に再現させるもので、これは雪の美しさよりもその自然の脅威に怖れをいただく人びとにとっては、美学的に抽象化するには難しいという面もあった。しかし風の動きや強さでその動きをコントロールし多様な吹雪のありようを展開することにより、屋外(地上)で展開している自然とは異なった体験と世界観を出現されられる可能性も大きくあった。
あまりにも身近にあるがゆえに、怖れや自然の厳しい試練としか感じられないものを相対化し、視覚的に再構築することで、北海道の人びとが生きる風景をみなおすこと、このプロジェクトにその可能性を感じた。
選評
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北村 清彦
創造都市さっぽろ・国際芸術祭実行委員会500m美術館部会部会長/北海道大学大学院文学研究科芸術学講座教授
2回目を迎えた「500m美術館賞」には21組の応募があり、2次にわたる審査の結果、大黒淳一さんの作品「WHITE OUT」がグランプリに選ばれました。これはガラスケース内に紙片などを舞い踊らせ、地吹雪のような光景を現出させるインスタレーションです。場所の特性をよく熟知し、ここでなければ実現できない提案だった点が審査員一同の評価するところとなり、今回の授賞となりました。
芸術が自然の美しさを描き出すというのはアリストテレス以来の伝統的な考え方ですが、逆に自然の方が芸術の美しさを真似ているとするオスカー・ワイルドのような考え方もあります。例えばターナーの絵を見て初めてロンドンの人達は霧の美しさを知ったというのです。私たち雪国に生活するものにとって、雪は厄介者です。しかしその困難さから少し身をひいて眺めてみれば、雪ほど美しいものはありません。芸術が自然の猛威を再現しようとしても自ずと限界があるでしょう。しかし、芸術は、ありふれた光景に対して新鮮な眼差しをむけ、認識を新たにしてくれるところにその存在意義があります。
大黒さんの作品が真冬の札幌の地下通路において、私たちの記憶を呼び覚まし、感覚を研ぎ澄まさせ、感情を揺り動かしてくれることを期待しています。願わくは温かな一杯のスープとともに。